アームレスリング全日本大会の階級一覧と考察【1977~2019】
アームレスリングという競技は力が重要な要因となりますので、すべからく体重によって階級が分けられるべきという観念になります。
種々の腕相撲大会やアームレスリング道場杯といったイベントでは、体重は不問で強さ別にクラス分けを行ったりもしていますが、県大会やましてや全日本大会といった公式大会レベルともなると、競技クラスを分ける要素は異例なく体重です。
腕相撲から派生するかたちで日本でアームレスリング組織が発足したのが1977年で、同年には全日本大会が開催されました。
全日本大会は黎明期には不定期開催でしたが、1987年以降は毎年開催されるようになり、その時々において主催者の判断で階級分けの最適化が行われます。
序開きの1977年から、最新の2019年までの全日本大会における男子階級分けの移ろいを、日本アームレスリング界の曙から過渡期の備忘録として記述します。
1977~2002年の男子階級
黎明期の不定期開催の頃は3クラスというシンプルな階級分けで、競技は右腕だけで左腕は行われていませんでした。
また、この時期は「未満」で階級分けが行われており、無差別級は「以上」という認識となっています。
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1977(第1回)
1978(第2回)
1980(第3回)
1985(第4回)
1987(第5回)レフト ライト 無し - 軽量級
- 中量級
- 重量級
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1988(第6回)
1989(第7回)レフト ライト 無し - フェザー級60kg未満
- ライト級70kg未満
- ミドル級80kg未満
- ライトヘビー級90kg未満
- ヘビー級90kg以上
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1990(第8回) レフト ライト 無差別級 - フェザー級60kg未満
- ライト級70kg未満
- ミドル級80kg未満
- ライトヘビー級90kg未満
- ヘビー級90kg以上
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1991(第9回) レフト ライト - 75kg未満
- 75kg以上
- 60kg未満
- 70kg未満
- 80kg未満
- 90kg未満
- 90kg以上
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1992(第10回)
1993(第11回)レフト ライト - 70kg未満
- 95kg未満
- 95kg以上
- 65kg未満
- 75kg未満
- 85kg未満
- 95kg未満
- 105kg未満
- 105kg以上
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1994(第12回)
1995(第13回)
1996(第14回)レフト ライト - 72kg未満
- 90kg未満
- 90kg以上
- 60kg未満
- 65kg未満
- 72kg未満
- 80kg未満
- 90kg未満
- 90kg以上
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1997(第15回) レフト ライト - 60kg未満
- 70kg未満
- 80kg未満
- 90kg未満
- 90kg以上
- 55kg未満
- 60kg未満
- 65kg未満
- 70kg未満
- 75kg未満
- 80kg未満
- 90kg未満
- 90kg以上
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1998(第16回)
1999(第17回)
2000(第18回)レフト ライト - 50kg未満
- 60kg未満
- 70kg未満
- 80kg未満
- 90kg未満
- 100kg未満
- 100kg以上
- 50kg未満
- 55kg未満
- 60kg未満
- 65kg未満
- 70kg未満
- 75kg未満
- 80kg未満
- 85kg未満
- 90kg未満
- 100kg未満
- 100kg以上
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2001(第19回)
2002(第20回)レフト ライト - 55kg未満
- 60kg未満
- 65kg未満
- 70kg未満
- 80kg未満
- 90kg未満
- 100kg未満
- 100kg以上
中量級(75kg前後)の階級分けの細分化が一気に進んだのが1997年というのがこれより分かりますが、前年1996年の結果を見ればその理由は容易に推察できます。
1996年の80kg級には、全日本チャンピオン経験者2人と新進気鋭の若者1人がエントリーしており、その3者で大接戦となりました。
この3選手は後年世界チャンピオンを獲得する、類まれなる傑物達です。
実力伯仲の戦いの結果、新進気鋭の若者がチャンピオンとなり、全日本チャンピオン経験者2名は準優勝と第3位となりました。
スター選手同士の戦いを堪能できる大変希有なトーナメントとなりましたが、やはりそれだけの選手には王者の座がふさわしいということで、翌年1997年には階級増というコントロールが入ったと考えられます。
もちろんアームレスリング人口が増加したことも大きなファクターです。
左右階級統一のメリット
2001年からは左右の階級が統一され、この変更によりレフトハンドで不利益をこうむる選手が激減しました。
1998年を例にとると
・左は60kg、70kg、~
・右は60kg、65kg、70kg、~
というように左腕の方がおおざっぱに階級分けされており、例えば体重64kgの選手はライトハンドは65kg級から出場できますが、レフトハンドだと70kg級以上に出場しなければならず、上位入賞は困難を極めたものです。
それでも同年は右で65kgに出場したスター選手が左70kgで決勝進出し、その競技能力の高さを実証しました。
2003~2019年の男子階級
2003年初頭にはアームレスリングの新団体「AJAF(アジャフ)」が発足し、初年度から全日本大会が開催されました。
新団体ゆえ出場選手が2002年以前よりもやや減少したため、階級分けはおおまかな傾向に回帰し、極端に軽い又は重い区分は廃止となります。
階級分けは「未満」から「以下」に変更となり、無差別級は「~より上」を意味する「超」になりました。
世界大会のクラス分けがそのような作法となっており、それを踏襲したのでしょう。
AJAFの隆盛及びアームレスリング人口の増加に比例して出場選手が増えると、2005年には重量級クラスが「105kg超」まで新設されますが、「95kg以下」「105kg以下」「105kg超」の3階級の左右を、AJAF最強のいち選手が総なめにするという結果になり、翌年2006年には重量級の区分が減少しています。
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2003(第1回) レフト・ライト - 60kg以下
- 70kg以下
- 80kg以下
- 90kg以下
- 90kg超
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2003秋季
(第2回)レフト・ライト - 57kg以下
- 63kg以下
- 70kg以下
- 78kg以下
- 86kg以下
- 86kg超
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2004(第3回) レフト・ライト - 60kg以下
- 65kg以下
- 70kg以下
- 80kg以下
- 90kg以下
- 90kg超
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2005(第4回) レフト・ライト - 52kg以下
- 57kg以下
- 63kg以下
- 70kg以下
- 78kg以下
- 86kg以下
- 95kg以下
- 105kg以下
- 105kg超
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2006(第5回) レフト・ライト - 57kg以下
- 63kg以下
- 70kg以下
- 78kg以下
- 86kg以下
- 86kg超
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2007(第6回)
2008(第7回)
2009(第8回)
2010(第9回)
2011(第10回)
2012(第11回)レフト・ライト - 60kg以下
- 65kg以下
- 70kg以下
- 80kg以下
- 90kg以下
- 90kg超
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2013(第12回) レフト・ライト - 60kg以下
- 65kg以下
- 70kg以下
- 80kg以下
- 90kg以下
- 100kg以下
- 100kg超
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2014(第13回)
2015(第14回)
2016(第15回)
2017(第16回)
2018(第17回)
2019(第18回)レフト・ライト - 55kg以下
- 60kg以下
- 65kg以下
- 70kg以下
- 75kg以下
- 80kg以下
- 90kg以下
- 100kg以下
- 100kg超
2010年代に入るとアームレスリング人口がさらに増加し、AJAF全日本大会出場者は2002年以前よりも多くなりました。
その結果2014年のような階級分けとなり、2019年現在もそのまま受け継がれています。
そしてこの2019年現在の全日本大会階級は世界大会階級と酷似していますので、世界大会を見据えた選手が大会のたびに減量・増量をせずに済むというメリットがあり、世界との親和性がより高まったといえます。
2019年世界大会結果・動画及び階級については、次をご覧ください。
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